■ハッシュ関数によって改ざんを防ぐ
ブロックチェーンは簡単にいうと取引履歴のことです。この技術によって、改ざんが限りなく不可能に近くなっています。ビットコインは貨幣のような実物はありませんが、かわりにブロックチェーンが存在を証明することになります。「元帳」「台帳」などともいわれます。
取引を記録したものを、ブロックといいます。1つのブロックには、100~1,000ほどの取引が記録されています。このブロックが鎖状につながったものがブロックチェーンです。各ブロックは、ハッシュ関数という計算式をもちいて一定の形式にデータ変換されます。関数によってつながっているため、ある取引を改ざんすると、その後の取引データも変わります。これらのデータは不正な形式となるので、改ざんされたことがわかるのです。
■世界中のコンピューターに記録されている
このブロックチェーンはどこにあるのかというと、世界中にいるマイナーのコンピューターに記録されています。この管理方法を分散型データベースといいます。ドルや円のような法廷通貨は、政府や銀行のデータベースが破綻すると取り返しのつかないことになりますが、分散型データベースにそのようなリスクはありません。もしマイナーのうち数人のコンピューターが破壊されても、他の世界中のマイナーが同じデータを持っているので、管理に支障をきたすことはありえないのです。
■ブロックチェーンの応用には無限の可能性がある
ブロックチェーンの理論は、ビットコインの父である謎の人物、中本哲史氏の論文によって2008年に提唱されました。これが仮想通貨の幕開けといえます。ほとんどの仮想通貨システムはこの理論によって構築されています。
仮想通貨だけではなく、金融をはじめとするあらゆる分野に応用が可能であるとして、注目を浴びています。改ざんや二重取引などの不正があってはならないもの、例えば選挙における投票、電子カルテ、物流管理などさまざまです。
イーサリアム(Ethereum)はその典型で、取引の結果としての送金だけでなく、契約内容もブロックチェーンで管理することで、履行を促します。契約内容や所有権などの証明は、公証人役場や登記で行っていますが、これらのシステムもブロックチェーンに置き換わる日がやってくるかもしれません。