■不正を防ぐ仕組み
コンセンサス・アルゴリズムとは、ビットコインなどの仮想通貨の取引において不正が発生しないように行っている仕組みのことを指します。
ビットコインではプルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work)と呼ばれる非中央集権的な合意形成のシステムを用いていますが、この方法には問題点もあるため、プルーフ・オブ・ワークにかわる新たな合意形成システムとしてプルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake)という方法を採用する仮想通貨も登場しています。
■悪意ある人々による不正に弱い一般的な取引
私たちはクレジットカードを使えば、決められた日にほぼ自動的に引き落とされ、また誰かに送金が必要だという場合にその依頼をすれば、しっかりと銀行が送り主から受け取り主に送金を行ってくれます。
このように私たちが実際の現金を目にすることなく様々な取引を銀行口座を介して行うことができるのは、私たちが銀行に預けたお金の管理をその銀行に任せているからに他なりません。こうしたある特定の組織や個人がお金を管理し、取引を行うことを集中管理型の取引システムと言います。
こうした集中管理型はその組織や個人がしっかりと管理してくれてれば問題は生じません。
しかしながら、銀行員が横領し勝手に預金者の口座からお金を引き落としたといった横領事件がしばしば報道されるように、預けたお金が悪意ある人々によって不正に利用されていたということもしばしば起こります。
このように集中管理型の取引システムは少数の悪意ある人々による不正に対して弱いという欠点があります。
■ビットコインの不正を割りに合わなくする
こうした悪意ある人々による不正に対抗するために考えられたのがコンセンサス・アルゴリズムです。
この基本的な考え方は、不正のコストを高めて、不正な取引を行っても割に合わなくするということです。
例えば、ビットコインの取引で用いられているプルーフ・オブ・ワークという方法では、1つの取引に際して大勢の人が高性能なコンピュータ駆使して10分程度計算し続けると、その取引が不正のないものだったと証明される仕組みになっています。
その上、こうした取引の情報はブロックチェーンと言われるように過去の取引も含めた情報として蓄積されていきます。そのため、ある時点で不正にビットコインを不正にしようとしたとしても、それまでに行われた全ての取引に関しても変更しなければなりません。
このように、コンセンサス・アルゴリズムを用いた取引では不正をすることのコストが非常に大きくなっているため、集中管理型の取引システムと比較して、悪意ある人々による不正が生じにくいとされています。