■資金調達の方法であるICO
ICOとは、Initial Coin Offeringの略で、企業などがブロックチェーンの仕組みを利用した自らのコインやトークンを発行することで、資金調達を行うことを指します。
株式投資に馴染みのある人であれば、IPO(Initial Public Offering=新規公開株)について知っている方もいらっしゃると思いますが、その基本的には仮想通貨版のようなものと言われています。
コインやトークンというのは英語で「代用紙幣」という意味があり、広い意味ではビットコインやリップルなどの仮想通貨と言われているものもコインやトークンと言えます。
この「コイン」や「トークン」を企業は自社サービスで利用できるチケットのような形で購入してもらったり、もしくは自社サービスなどの収益の一部を受け取ることができるといった権利の証明書として投資をしてもらうといった方法で資金調達を行うことができるようになっています。
■投資の対象が広がるICO
投資家にとってICOを利用する利点は、これまで投資できなかったような初期段階の有望な企業やプロジェクトに投資することが可能になるという点です。
例えば、一般の投資家が有望なベンチャー企業に投資をしようと思ったとしても、通常はその企業が株式市場に上場するまで待つ必要がありました。
しかしながら、ICOを企業が発行する場合は株式市場に上場する必要がないため、上場前のベンチャー企業に対して投資を行うことができるようになります。
これまでは投資できなかったような企業にまで投資の対象を拡げることができるという点で投資家にとってはメリットとなります。
■モニタリングが難しいICO
それに対して、株を購入する場合と比べてICO欠点となるのが、株のように経営の所有権を購入しているわけではないため、そのICOを行った企業やプロジェクトの進捗状況や行動に対して発言権を得るというわけではないという点です。
それゆえに、ICOを行った企業やプロジェクトのパフォーマンスが悪かったとしても、その改善を要求することができないという問題があります。
このように、投資家によるモニタリング(監視)が難しいため、2017年に中国の金融監督当局はICOの大部分は「金融詐欺」として警告するとともに、新規のICOを凍結しています。
このように、ICOでは、投資家によるモニタリングができにくいという問題があります。
■リスクの高いICO投資
このようなメリットとデメリットがありますが、ベンチャー企業への投資はハイリスク・ハイリターンと言われているように、ICO投資もまたハイリスク・ハイリターンということも注意しておく必要があります。
例えば、ICOで資金調達を行った仮想通貨「イーサリアム」はICO直後は8ドル前後であったのが、2017年9月には一時400ドルまで上昇しましたが、その後1か月で約200ドルまで値下がりするといったように乱高下しています。
このようにICOへの投資はハイリスク・ハイリターンであるため、自分がとれるリスクをしっかりと見極めた上で投資を行っていくことが必要です。