■暗証番号の役目を果たすのが、秘密鍵
アドレスの役割を口座番号に例えるなら、秘密鍵は暗証番号です。ビットコインは公開鍵と秘密鍵の2つの要素から成り、送金時には秘密鍵が必要になります。秘密鍵を知っていることでのみ、ビットコインの持ち主であることを証明できます。秘密鍵は情報なので、紙に書いて保存(ペーパーウォレット)することもできます。短くて30文字以上なので、覚えることは難しく、その必要もありません。
パソコンやスマートフォン上で利用するウォレットには、秘密鍵が組み込まれています。通常ペーパーウォレットにしたり、覚えたりする必要はありません。ウォレットアプリがあれば、銀行振込のように暗証番号を入力したり、クレジットカード番号を入力したりする手間はなくなります。
ただし、そうするとウォレットを入れたスマートフォンを紛失した場合など、不正送金のリスクが高まります。そのため、多くのウォレットアプリでは、操作時に入力する暗証番号を設定することができます。
■どう管理するのが適切か
ウォレット作成時には新しい秘密鍵を作ることもできますが、既存の秘密鍵を取り込むこともできます。仮想通貨をコインの形にした商品がありますが、これはコインのような形の紙に、秘密鍵を印刷したものです。この秘密鍵をウォレットに取り込むことで、仮想通貨として使うことができるようになるのです。
ビットコイン=秘密鍵といっても過言ではありません。紛失や不正利用を防ぐには、適切な管理が必要です。日本や香港の取引所でビットコインが盗まれた事件が過去にありましたが、これは、何者かが取引所のシステムに侵入し、秘密鍵を持ち出したと考えられます。秘密鍵さえあれば送金ができるので、盗んだ秘密鍵を使って、そこにあるビットコインをすべて盗難者のウォレットに送金することができてしまうのです。
ペーパーウォレットならウィルスの感染やハッキングは防止することができますが、毎回秘密鍵を入力していたら大変な手間です。盗難、紛失したら元も子もありません。
もっとも安全性が高いのは、ハードウェアウォレットです。これは、SDカードやUSBメモリのように、必要なときだけパソコンとつないで利用するものです。使わないときはパソコンから外しておけるので、ウィルス感染のリスクは少なくなります。また、パスワードを使って管理するので、紙と違って誰かに盗まれてもただちに不正送金されるようなことはありません。
■秘密鍵に関する不正送金の事例
かつて、テレビの報道番組でビットコインの特集がされたときに、秘密鍵が画面に映ったために、すぐに不正送金された、という事例があります。秘密鍵は、決して他人に教えてはいけないのです。