中本哲史(ナカモトサトシ)

■ビットコインの生みの親

中本哲史は、ビットコインの核となる論文『BITCOIN : A PEER-TO-PEER ELECTRONIC CASH SYSTEM(ビットコイン:P2P電子決済システム』の著者であり、基本のプログラムを作った人物です。

この人物の正体は謎に包まれており、本名なのか、個人名なのか団体名なのかすらわかっていません。国籍も性別も明らかになっていません。何度か本人を突き止めたと騒がれたことがありましたが、いずれも中本哲史との結びつきを確実に示す証拠は見つかっていないようです。

現時点(2017年3月)で最も有力なのは40代のオーストラリア人男性です。中本哲史本人しか知り得ない情報を知っていた、論文発表前からビットコインに近いものを構想していたとされています。彼自身も中本哲史であることを認めていますが、その後「今後は一切の説明を行わない」としており、謎は謎のまま残されることとなりました。

■中本哲史が残した功績はなんだったのか

彼(彼女なのか、彼らなのか)は2008年、暗号を研究するグループに前述の論文を発表しました。記載されていたのは、ビットコインのような暗号通貨の存在を可能にする革新的な技術であるブロックチェーンの仕組みです。

暗号通貨という構想が最初に提案されたのは1998年のことで、暗号のスペシャリストであるウエイ・ダイによるものでした。しかし実現できるだけの技術がなく、10年後の中本論文でようやく道が開けることになります。2009年1月9日、彼が発表したコード(プログラムの中身)によって、暗号通貨の歴史がはじまります。

最初のビットコインのプログラムを書いたのも、マイニングによって初めて獲得したのも中本哲史です。その後も開発・運営に携わりましたが、2010年には素性を明かすことなく身を引きました。それからこの謎の人物の正体を憶測するさまざまな説が噂されています。

中本哲史をノーベル賞に推す動きもありましたが、身元不明のため授与不可能ということでノミネートされていません。

■なぜ正体を隠すのか

ノーベル賞クラスの発明であるビットコインの開発者は、なぜ正体を隠すのでしょうか?名声が欲しくないのでしょうか?

ビットコインには「ブロックサイズ問題」や「分裂問題」など未解決の問題があり、名乗れば対応せざるを得なくなることを懸念しているのかもしれません。取材や仕事の依頼が殺到することを恐れている可能性もあります。

あるいは、ビットコインの取引価格上昇による莫大な資産が明るみに出ることを恐れているのでしょうか。少なくとも100万BTC、数百億円以上を手にしているとの推測があります。税金の問題や周囲の反応が気になるのかもしれません。

まだまだ謎が残るビットコインですが、ミステリアスなところも魅力のひとつではないでしょうか。

スポンサーリンク