■ビットコインとは何か、その使い道は?
ビットコインは、仮想通貨の一種であり、その先駆けでもあります。ネットワーク上に存在する、21世紀に生まれた新しい通貨です。決済手段や資産としての保存手段としてだけでなく、投資対象としても扱われています。
単位はそのものズバリ、ビットコイン。1ビットコイン未満も、0.1ビットコイン、1マイクロビットコインというように使われています。
■ビットコインは、どういう仕組みで運営されているか
ビットコインは、ブロックチェーンという仕組みを用いて発行・決済される仮想通貨であり、暗号通貨とも呼ばれます。
円やアメリカドルなど通常の通貨は、国や中央銀行が発行主体となり、貨幣としての発行することや、銀行が記帳(データを管理)することで、資産としての裏付けを得ます。それと同時に、貨幣の受け渡しや銀行による記帳が、決済手段となっています。
ビットコインには、特定の管理者がいるわけではなく、その送金の裏付けをするのは、「第三者である誰か」が行います。例えば、送金手段として銀行振込をした場合、銀行が送金者の口座から減額し、受け取るほうの人の口座を増額します。
この銀行の役目を誰でもできるのがビットコインです。裏付けされた情報は発行時まで一つ一つさかのぼることができるため、改ざんが難しく、信頼性が高いといわれています。
この、多数のシステムが平等に監視し、履歴を保存する仕組みをブロックチェーンといいます。偽札づくりや盗難が難しく、全ての人に平等な決済・発行の仕組みを持っているのがビットコインなのです。
ビットコインを手に入れるには、送金を受けるほか、通常の通貨と同様に取引所で円やドルと交換するか、後述のマイニングという3つの方法があります。
■ビットコインは世界でどれだけ流通している?
ビットコインは、2008年にナカモトサトシを名乗る謎の人物が論文を発表しており、その思想や技術に魅入られた世界中の技術者が開発を行い、2009年から運用が開始されました。
当初はマイナーな存在でありましたが、送金のスピードや手数料の安さから、大手企業や国家までが利用するようになり、世界中で取引が行われるようになりました。
2013年の夏には、運営開始からわずか4年にもかかわらず、時価総額1兆円を超えました。
ビットコインを購入・売却できる取引所は世界中にたくさんあります。日本にも2014年以降、複数設立されています。
■通貨ということは、円やドルと同じ?一体何が違うのか
ビットコインの最大の特徴は、特定の管理者がいないところがです。これが円やドルなどの法定通貨と大きく違うところです。
法律や金などの実物資産の裏付けがなく、コンピューターのプログラム上のみに存在している通貨なのです。中央銀行や政府が管理している国の通貨は、その政府の信用が落ちれば、急激なインフレが起こることもありますし、政府が預金封鎖という事態を引き起こすこともあります。
つまり、政府が信用できなければ、通貨を使うことはできません。外国為替による通貨の価格変動も、その国の政府への信用が大きな要因となって起こります。
ですがビットコインは先ほども書いたように、世界中の人々がシステムを使って管理しており、特定の政府に依存するものではありません。
そのため政府が信用できなくなったときのインフレや預金封鎖対策の切り札になるかもしれません。とはいえ、価格変動については激しい面があります。
流通性や供給量がまだ多いわけではないせいか、一日に20%もの変動をすることもあります。ここにチャンスを見出した人が投機的取引をし、さらに変動が助長されるという側面もあります。
■貨幣や硬貨がないということは、電子マネーと同じか?
コンピューター上のお金というと、電子マネーを思い浮かべる人もいるかもしれません。ですが、電子マネーはあくまでも「決済手段」であり、その単位は円だったりドルだったり、結局は他の通貨となります。
JR東日本による電子マネーSuicaの100円は常に100円の価値がありますが、1ビットコインの円換算の価格は常に変動します。
また、日本の法制上、ビットコインは「仮想通貨」、Suicaなどの電子マネーは「前払い式決済手段」となっており、発行業者に対する規制などがあります。
仮想通貨には発行業者自体ありません。取引所のような交換業者に対する規制はあります。ビットコインはそれ自体通貨であり、電子マネーはあくまでも通貨の支払い手段なのです。
■管理者がいないのに、どうやって管理しているの?
ビットコインには管理者がいないと何度も書いてきましたが、そんなもの通貨として信用できるのか、と思うかもしれません。
これが、考え方によっては、ビットコインのような仮想通貨のほうが信用できるのです。管理が銀行や政府のように一元化されると、そこで何が行われても、第三者が監視することはできません。ですが、ビットコインの核であるブロックチェーンは、P2P(ピア・ツー・ピア)というデータのやりとり方法が根本にあります。
P2Pとは何かというと、例えばSkypeのようなインターネットを通じたテレビ電話のように、お互いが対等な端末間のデータのやりとりのことをいいます。
先ほどの銀行振込の例だと、送金したATMの端末と、銀行本体のサーバとのやりとりであり、これは銀行本体のサーバが「主」で送金に使ったATMが「従」という関係になり、対等ではありません。
誰もが管理者、そして証人になることができるP2Pだからこそ、透明性が確保できるのです。
・採掘(マイニング)とは何?
具体的に、ビットコインがどうやって信用性を担保するか、見てみましょう。ビットコインの決済を承認する第三者は、そのためのソフトが入ったコンピューターを持っていれば、誰でもなれます。ソフトは誰でも手に入れられます。
例えば、AさんがBさんに10ビットコインを送金したとします。すると、世界中のネットワークを通じて、決済を承認しようとするCさんとDさん、その他大勢の人のところに、暗号が送られます。
暗号は、10分くらいで解けるように設定されています。暗号を一番乗りに解いたのはCさんです。Cさんは、私が暗号を解きました、この取引を承認しますという記録を、暗号を使って記録します。そうすると、Cさんには賞金として新規に発行されるビットコインが送られるのです。
これを、一見何もない鉱山などから金や銀を取るのになぞらえて、採掘(マイニング)といいます。
なお、マイニングは、やはり金銀ダイヤモンドと同じで、非常に処理能力が高いコンピューターを持ってしても、採算をとるのは難しいようです。ビットコインのマイニングに力を注ぐ人は、現代の山師といえるかもしれません。